論文誌編集方針と二重投稿にあたらないための投稿ガイドライン(2012/05/22)

日本鉄鋼協会論文誌編集委員会

編集方針

日本鉄鋼協会論文誌編集委員会では、下記のような編集方針で、和文論文誌「鉄と鋼」と英文論文誌「ISIJ International」の2誌を編集・発行しています。

  1. 鉄鋼および関連材料の材料・プロセスに関わる分野において、世界的な論文誌としての役割を果たし、当該分野の学術および技術の発展に寄与する、独創性や新規性に優れた研究成果や利用技術の成果を含む論文を掲載する。
  2. 前項を踏まえた上で、会員の要望も加味し本会活動の活性化が促進される方向で、本会活動と連携した論文の投稿・掲載を進める。

学術論文誌であるために、当然ながら、掲載する論文はオリジナルなものでなければならず、従来研究(技術)との比較対照が明示され、その上で、独創性や新規性を有することが必要とされます。論文誌編集委員会では、投稿論文に対し公正なピアレビューを行い、論文誌の水準を高める努力を続けてまいりました。

論文誌編集委員会では2011年に本会講演大会論文集である「材料とプロセス」を既発表論文の例外に含めることを決めました。これは、上記編集方針 2 にもとづき、「材料とプロセス」の概要を作成する際の負担を軽減し講演大会が活性化すること、講演内容を論文発表しやすくなること、さらに講演内容の論文誌への投稿を勧誘していることから、既発表論文の例外とすることが適切であると考えたからです。

最近、捏造、改ざん、盗用などの不正行為が増加しているという調査結果も出ており、様々な論文誌において、掲載論文の撤回等が起きています。一方、二重投稿については、他の悪質な行為とは本質的に異なりますが、許容されない不適切な行為の一つであります。
一般的に、不正行為や不適切行為を行うと、論文は即座にリジェクトになり、他論文誌の編集委員や所属機関にその旨の通知や調査の要請がされ、一定期間の論文投稿禁止の罰則を受けたり、掲載後に発覚した場合は掲載取り消し文が冊子や電子ジャーナル上に掲載されるなど、投稿者はかなりのダメージを受けることになります。

二重投稿という観点から見直すと、「材料とプロセス」のうち、概要の頁数が多い討論会、国際セッションの内容は、二重投稿に該当しやすくなります。そこで、論文誌編集委員会では、上記編集方針 1 を優先して、論文内容の相当部分が既発表の「材料とプロセス」と重複する場合は二重投稿として扱う見直しを行いました。
また、本会論文誌投稿規程の変更、不正行為および不適切行為対応規程の制定、投稿にあたり二重投稿でないことの宣言書の提出を行い、二重投稿や不正行為への対応策を講ずることにいたしました。

本会に限らず、他の論文誌等ではその投稿規程などにおいて、二重投稿の基準や罰則を定めたりしていますので、論文を投稿される場合は投稿規程をしっかり把握しておくことが重要です。
特に、二重投稿と判定されて罰則などを受けないための、著者としての注意事項をガイドラインとして以下に列記いたしますので、ご参考にしていただきたくお願いいたします。

二重投稿にあたらないための投稿ガイドライン

  1. 既発表論文をもとに書いた論文を日本鉄鋼協会の論文誌に投稿する場合は、投稿論文に既発表論文に関する引用を適切に行う。また、編集委員会で既発表論文と投稿論文の関係について審査するため、投稿の際に既発表論文を投稿論文に添付すること。
  2. 既発表の国際会議のプロシーディングスに掲載された内容をもとに書いた論文を日本鉄鋼協会の論文誌に投稿する場合は、投稿論文にプロシーディングスに関係する引用を適切に行う。また、先に国際会議プロシーディングスなどに掲載する場合は、オリジナリティに十分注意をすることが望ましい。
  3. 日本鉄鋼協会の論文誌を含む一般の論文誌や国際会議のプロシーディングスなどに掲載された内容と同一のものを他の論文誌に投稿する場合は二重投稿と見なされる。(ただし、投稿規程によっては、転載が認められていたり、国際会議のプロシーディングスは二重投稿の例外としている他学協会もあり、注意が必要)。
  4. 既発表の分量が多い程、論文化した場合に重複度は高くなるので二重投稿に該当しやすくなる。既発表論文の概要を複数分まとめる場合や日本鉄鋼協会講演大会の国際セッションにて発表した場合は十分な注意が必要である。
  5. 日本鉄鋼協会に限らず国際会議を開催する場合、著者には二重投稿の嫌疑がかかる可能性があることを十分注意していただくよう呼びかける。

以上